環境戦略と指標

トップメッセージ

YKK精神「善の巡環」が原点
Architectural Productsの進化で社会を幸せにする

 当社では、2023年の社長就任時に“2030年のありたい姿”を「世界のリーディングカンパニー」と掲げ、その実現をめざすビジョン「Evolution 2030」を策定しています。

 私たちは、YKKグループの企業精神である「善の巡環」すなわち企業は社会と共存し利益を分かち合ってこそ存続できるという基本思想のもと、YKK AP独自のパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」を策定しています。この二つの実現の延長線上に、「世界のリーディングカンパニー」があります。売上高、営業利益率ともに業界トップになれば、プライスリーダーになることができます。ひいては持続的成長が可能となり、ステークホルダーに利益が生まれ、社員も安心して働くことができるという、「善の巡環」やパーパスにかなう仕組みができると考えています。

 2024年度は、売上高は5,616億円で、4年続けて過去最高を更新したものの、資材価格の高騰や円安などの影響で、営業利益は180億円と前年度を下回りました。
 これまでの延長線上で進める「改善」ではなく、「儲かる体質」へと「変革」する必要があると考えており、2025年度からスタートした第7次中期経営計画は、「収益構造の変革」と「技術革新による価値創造」の二軸で進めます。前半の2年間で「儲かる企業」を実現するための体質改善を図り、後半の2年間で、改めてビジョン「Evolution 2030」にチャレンジします。

 「収益構造の変革」は、リフォーム・改装分野へのシフトと、断熱性能向上をキーワードに推し進めます。新設住宅着工戸数の減少傾向が続くと見込まれる一方、既存住宅の断熱性能向上の動きは今後も需要が見込まれます。また、今後10年で築35年以上のマンションは大幅に増加し、2030年代半ば以降にピークを迎える見通しです。さらに、政府はGX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた 基本方針の中で、住宅・建築物における省エネ改修等について、2023年から10年間で約14兆円規模の官民投資を実施するとしています。これらの市場環境や政策動向を踏まえ、住宅のリフォームおよびビルの改装は、今後当社が重点的に取り組むべき事業領域であると認識しています。

代表取締役社長 魚津 彰
代表取締役社長魚津 彰

 窓においては、2022年に断熱等性能等級の最高等級が4から7に引き上げられ、現在、新築住宅は等級5・6へ移行しつつあります。これに伴い、住宅用窓市場では樹脂製などの高断熱窓への移行が加速すると見込まれます。断熱性の観点から、当社は、住宅向けアルミ窓の販売を2027年度で終了する方針を固めました。樹脂窓、木製窓およびアルミと樹脂の複合窓の販売を伸ばし、2028年度には全窓商品の販売金額で首位をめざします。
 また、高断熱窓化率を、住宅で100%、ビル用で25%(※)に引き上げる計画を掲げました。それを実現するためのキーワードは、「技術革新による価値創造」です。国産木材を使用した商品や、ビル用アルミ形材断熱窓の開発は難易度が高いですが、自社の優位性を発揮して取り組んでまいります。カーテンウォールについては、日本よりも断熱性能基準が厳しい欧州の基準に合わせた改装用商品や、断熱性の高い商品の開発・提供にも取り組んでいきます。
 新技術を使った商品開発にも取り組んでまいります。現在着手しているのが、ガラスに当たった太陽光で発電する窓の開発です。窓を、エネルギーを生む場所へと転換させる画期的な技術です。いずれはベランダや門扉、フェンスなどにも展開したいと考えています。

 今後もチャレンジャー精神を一層強め、持続的な成長を実現しながら「世界のリーディングカンパニー」への歩みを着実に進めてまいります。

※住宅:販売窓数ベース、ビル:受注窓数ベース

<YKK AP環境経営方針>

YKK AP環境経営方針(2025〜2028年度)

環境価値創造による地球への貢献
~カーボンニュートラル実現に向けて~

YKK APは、環境負荷低減と環境価値創出により、
現在および将来世代の豊かな生活の実現と地球環境に貢献します。

●脱炭素化・循環型社会実現に向けた技術開発・環境負荷低減に取り組みます。
●ライフサイクル全体で、気候変動、資源循環、水保全、生物多様性に取り組みます。
●多様な人材を基盤とし、未来を見据えて新たな環境価値創出に取り組みます。

YKK AP環境政策委員長
YKK AP株式会社 代表取締役社長
魚津 彰