環境との共生に向けた取り組み

環境

気候変動への対応

YKK APは、事業活動のすべての工程でCO2排出量の削減や気候変動への対応に取り組んでいます。

推進するのは、サステナビリティ統括部長がプロジェクトリーダーを務める「カーボンニュートラルプロジェクト」です。このプロジェクトは若手技術者が参画する7つのワーキンググループで構成され、カーボンニュートラル技術ロードマップの策定と、それに基づく取り組みを推進しています。商品とモノづくり、それぞれのプラットフォームを検討しながら技術開発を強化していきます。

さらに、高断熱商品の普及により、冷暖房に使用するエネルギーを減らすことで、自社だけでなく社会全体のカーボンニュートラルにも貢献していきます。

気候変動への対応を進める上では、特定の部門だけでなく、バリューチェーン全体での連携が不可欠です。研究・開発・検証から資材調達、製造・物流、販売、施工、商品使用に至る各段階で環境課題の解決に取り組み、ライフサイクル全体での環境価値創出を進めています。

スコープ1+2の取り組み

スコープ1+2については、2013年度比で2030年度までに80%削減、2040年度までに100%削減という目標を掲げています。当初は「2050年ゼロ」としていましたが、国際的な脱炭素加速や国内外の規制強化の動きを見据え、10年前倒しして目標水準を引き上げました。

2025年度は、2013年度比でスコープ1+2を44%削減しました。2026年度は51%削減を計画しており、2030年度の80%削減に向けて計画通りに進捗しています。

再生可能エネルギーの導入を拡大

カーボンニュートラルプロジェクトの「創エネWG」では、⾃社敷地内への⾃家消費型再⽣可能エネルギーの導⼊を推進しています。2025年度までに国内外15拠点に合計17,800kWの太陽光発電‧⼩⽔⼒発電・風力発電を導⼊しました。2026年度には創エネ導入量が20,500kWとなり、自社電力使用量の約5%相当をまかなえる見込みです。国内外の製造拠点で創エネ設備の導入を拡大しながら、外部エネルギーへの依存低減と安定的な供給体制の構築を図っていきます。

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、余剰電力が発生することから、首都圏では「発電余剰電力融通型オンサイトPPA」を運用しています。埼玉工場(新建屋)の太陽光で発電される電力を、埼玉工場(旧建屋)および埼玉窓工場にも託送供給することで、100%有効活用する体制を整えています。

滑川製造所に導入した大規模太陽光発電設備

「発電余剰電力融通型オンサイトPPA」の運用イメージ

スコープ3の取り組み

スコープ3については、2030年度までにCO2排出量を34%削減(2013年度比)する目標を掲げ、2025年度時点で30%削減を達成しました。現在は、排出量の多くを占める「原材料由来」と「商品使用時」の観点から、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

都市鉱山の活用とアルミリサイクル技術の推進

原材料由来のCO2削減においては、特に使用量の多いアルミ資源の循環利用に注力しています。全量を輸入に依存しているアルミの課題に対し、既存建物に蓄積するアルミ建材を「都市鉱山」として活用することで、輸入新地金への依存低減と安定調達をめざしています。その実現に向け、産官学民の連携による高品質な再生技術の開発を進めており、2024年度からは東北大学と副産物の循環利用技術、2025年度からは富山大学とアルミ合金スクラップからの不純物分離プロセス技術の共同研究にそれぞれ取り組んでいます。

アルミの市中リサイクル材

富山大学に設置した「アルミ再生・循環システム工学(YKK AP)共同研究講座」

アルミの「リサイクル炉」を導入

YKK APは、2030年度のリサイクルアルミ使用比率100%の達成をめざしています。その実現に向け、アルミの市中リサイクル材の投入比率を高めるため、「リサイクル炉」の導入を進めています。通常の溶解炉では、バーナーで加熱することで市中リサイクル材を大量に溶解することができる一方で、市中リサイクル材を大量に投入すると酸化やアルミ減耗量の増加が起こります。溶解炉とは異なる方法を用いる専用のリサイクル炉では、アルミ溶解時の減耗量が削減できます。

また、こうしたリサイクル技術の強化にあわせて、アルミニウムの製錬時に再生可能エネルギーを活用した「グリーンアルミ」の利用拡大も図っており、製造工程全体での環境負荷低減を推進しています。

四国製造所のリサイクル炉。左奥は材料の自動投入機

四国製造所のリサイクル炉。左奥は材料の自動投入機

「省エネ」+「創エネ」で建物全体の脱炭素に貢献

商品使用時の排出削減に向けては、従来の「窓の高断熱化」による省エネにとどまらず、自らエネルギーを生み出す「創エネ」領域へと事業ドメインを拡張しています。低照度環境や多様な形状に対応するペロブスカイト太陽電池を活用した建材一体型太陽光発電(BIPV)の開発をはじめ、東京ガス株式会社との協業による新築戸建て向けサービス「マドそらwith IGNITUREソーラー」などを展開。省エネと創エネを組み合わせることで、建物全体のオペレーショナルカーボン※を大幅に削減し、ZEH・ZEB水準の実現に貢献します。

※建物やインフラの利用・運用時(照明、冷暖房、給湯など)に排出される温室効果ガスの総量

「マドそらwith IGNITUREソーラー」の仕組み

「マドそらwith IGNITUREソーラー」の仕組み

サーキュラーエコノミーへの挑戦

サーキュラーエコノミーの実現に向け、事業活動による投入資材、現場資材の削減、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用の3R(Reduce:リデュース、Reuse:リユース、Recycle:リサイクル)活動、不良品発生抑制に取り組んでいます。

事業活動から排出する廃棄物については、「リサイクル率の向上と維持」「廃棄物の削減」「商品への投入資材削減と再生材活用」をめざし、廃棄物の有価物化・再生利用、歩留まり向上に取り組んでいます。

「リサイクル率の向上と維持」では、国内製造拠点から排出する産業廃棄物についてはリサイクル率100%を達成しており、2030年までに日本・海外合わせて99%以上の達成に向けて取り組みを継続します。

「廃棄物の削減」では、2030年までに日本・海外製造拠点の廃棄物40%削減をめざし、ガラス屑の社内処理や有価物化、廃プラスチックのRPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel:紙・プラスチック由来の固形燃料)原材料への活用などを進めています。

「商品への投入資材削減と再生材活用」では、包装資材、商品施工において投入資材を削減し、樹脂商品のPVCリサイクル材使用率を向上させるため、資源循環を考慮した商品開発や、環境負荷の低い商品を提供する仕組みの構築に取り組んでいます。

サーキュラーエコノミーへのアプローチ

サーキュラーエコノミーへのアプローチ

樹脂のリサイクル率向上に向けて

樹脂窓の製造時や使用後に発生する樹脂のリサイクル率向上にも、積極的に取り組んでいます。樹脂窓の各製造拠点に粉砕・選別装置を導入し、端材を樹脂形材の原材料や複層ガラス用のパーツとして再利用しています。2025年度には、製造過程で発生する樹脂端材の社内リサイクル率100%を達成しています。

樹脂端材を再利用した樹脂形材(灰色部分がリサイクル材)

樹脂窓リサイクルの社会実装

YKK APは、使用済み樹脂窓のリサイクル実現に向け、業界団体を中心に組織された「樹脂窓リサイクル検討委員会」に委員として参画しています。同委員会では、建物の解体や改修時に発生する使用後の樹脂窓を回収・リサイクルするシステムの構築をめざし、産官学連携で取り組みを進めています。2024年1月には「樹脂窓リサイクルビジョン」を発表し、業界全体で2030年までに年間10,000tの再生材活用をめざす目標を打ち出しました。

こうした業界の目標を見据え、YKK APは樹脂窓メーカーとして主体的に樹脂窓リサイクルの取り組みを加速させ、他社製品も含めた使用済み樹脂窓由来の再生原料を使用した”マドtoマド”リサイクルによる商品の実用化をめざします。

環境配慮に向けたガイドラインの運用

サプライチェーン全体のCO2排出量最小化に向けて、商品開発時に「環境配慮設計ガイドライン」を適用しています。商品のライフサイクルにおいて「CO2排出量の可視化」「包装資材の標準化」「環境負荷物質の可視化」「解体・分離の容易性」「環境配慮に向けた評価手法と設計指針」の5項目で商品の評価・改善を行っています。特に包装資材では、繰り返し使用できる包装資材を拡大し、プラスチック包装資材使用量を削減しています。

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