価値創造と経営戦略

YKK APの価値創造

価値創造プロセス

価値創造のベースとなる6つの経営資本

「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」をパーパスに掲げるYKK AP。高品質な商品・サービスを生み出す企業活動を通して、顧客・社会・社員に価値を提供する、このサイクルの源泉となるのが6つの資本です。事業機会やリスクを見極めながら戦略的な資本投下を行い、持続的な成長をめざします。

  • 対象範囲 YKK APグループ(国内+海外)
    対象期間 2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)、もしくは2024年3月末時点

財務資本

Financial Capital

自己資本比率 64.6%
総資産利益率(ROA) 4.0%

<事業活動を支える財務基盤>

YKK精神「善の巡環」のもとグループファイナンスを基本とし、YKKグループ全体で資本効率を高めています。YKK APとしては、総資産利益率(ROA)6~7%を目標に資本投下を行っていきます。海外では経営に現地社員の登用を推進し、「海外の利益はその地で再投資できる体制」をめざしています。現地の状況に即した機動的な投資判断を行うことが、グローバルでの競争力強化につながっています。売上高1兆円規模をめざすビジョン「Evolution 2030」の実現に向けて、国内・海外ともに効果的なタイミングで財務資本を投下していきます。

人的資本

Human Capital

国内従業員 12,991名 海外従業員 4,843名

<企業理念を共有した「森林集団」>

YKK創業者の吉田忠雄が提唱した「森林経営」の考えをベースに人的資本経営を推進し、それぞれの個性を活かし、自律的に成長する活力あふれる「森林集団」をめざしています。2021年に設置したCHRO(最高人事責任者)の主導のもと、人材戦略として、イノベーションによる新規事業創出に挑戦する社員を社内で公募し、関連部門の組織体制を強化しています。また、個人のキャリア形成支援として、キャリア相談窓口「共通メンター」制度の強化や、デジタル/ITリテラシー教育の導入を進めるとともに「働きやすさ」「働きがい」のある職場環境づくりを通して、従業員のエンゲージメント向上につなげていきます。

製造資本

Manufacturing Capital

製造設備投資 207億円
製造拠点 国内 25拠点 海外 13拠点

  • 製造拠点は、2024年5月時点。

<一貫生産体制による高品質な商品・サービス>

YKK APの強みである一貫生産体制をベースとし、商品の開発段階から製造技術と連携したモノづくりを進めることで、技術競争力を高めています。中期的な視点で需給を見込んだ計画的な設備投資に加え、社員が働きやすく、働きがいのある環境を創出する投資も積極的に行いながら、製造供給能力を強化していきます。また、スマートファクトリーの導入による生産活動の最適化、AIによる安全対策や需給予測の効率化など、DXの推進も加速しています。

社会・関係資本

Social and Relational Capital

国内拠点 194拠点 海外拠点 58拠点
関係会社 国内8社 海外21社

  • 関係会社は、2024年7月時点。

<ステークホルダーとの信用・信頼をベースにした共創関係>

社会に愛される会社であり続けるために、一企業として利益を追求するだけではなく、社員をはじめ、お客様、お取引先、地域社会などステークホルダーの皆様との関係性を大切にしています。YKK APのブランド力を向上し、存在価値を認めていただくためにもコミュニケーションを重視し、さまざまな形で対話・共創の場を設けています。各ステークホルダーの要望に寄り添い、課題の抽出や技術開発を行うことはもちろん、商品・サービスによる社会課題解決を通して、社会の持続的な発展に貢献していきます。

自然資本

Natural Capital

エネルギー消費 141千kl(原油換算)
水使用量:8.3百万m³

<ライフサイクルの全ての段階で環境価値を創出>

YKK AP環境経営方針で掲げる4つの環境課題「気候変動」「資源循環」「水」「生物多様性」で数値目標を設定し、技術革新による新しい価値の創造、環境負荷ゼロに挑戦しています。製造拠点では、高効率設備の導入や再生可能エネルギーの活用によりエネルギー使用量削減を推進しています。また、各地域の水使用制限のリスクに対応するため、水の循環利用・再生利用を進め、水使用量削減に取り組んでいます。原材料のグリーン調達や環境配慮設計など、環境価値の創出に向けた活動を一層拡大しています。

知的資本

Intellectual Capital

研究開発費 106億円
会社派遣での学位取得者数(博士号・MBA・MOT) 累計21名
特許権所有件数 1,466件

<研究・開発・検証体制をベースとしたモノづくり イノベーションを生み出す新たな視点の取り込み>

日本の黒部と東京、ドイツ、インドネシアに開発・技術研究拠点を構え、グローバルで研究・開発・検証を行い、お客様視点での価値創造や、技術力の向上を図っています。2023年度には、将来を見据えた新技術の研究・リサーチを加速するため、「技術研究本部」を発足しました。循環型社会の実現に向け、製品素材のリサイクル技術開発などを実施しています。また、各種研究機関との共同研究を実施するとともに、社員の大学院派遣も推進しています。さらに、知的資産に関する戦略的な管理・活用に注力し、特許出願や特許権所有による競争力とブランド価値の向上をめざしています。

社会課題を解決する商品展開

YKK APは第6次中期事業方針に「商品による社会価値の提供とモノづくり改革の実現」を掲げ、ステークホルダーへの価値提供に加え、各国/地域の社会・環境課題の解決にも貢献する商品展開を進めています。

●気候変動(高断熱)

気候変動に対応する、高断熱商品を展開しています。主力の「APW」樹脂窓シリーズをはじめ、窓の室内側に樹脂製の内窓を取り付けるリフォーム商品「マドリモ 内窓 プラマードU」は、開口部の断熱性能を向上することで、冷暖房エネルギーの削減に貢献します。2024年9月には、ビル用アルミ樹脂複合窓「EXIMA 55」を発売予定です。今後は中高層建築物の高断熱化も図っていきます。

「APW」樹脂窓シリーズ 写真 「APW」樹脂窓シリーズ
マドリモ 内窓 プラマードU 写真 マドリモ 内窓 プラマードU
EXIMA 55 写真 EXIMA 55

●人口減少による技術者不足

日本の人口減少に伴い進行する、建築業界の高齢化・人手不足解消に資する省施工商品を開発しています。窓リフォーム商品の「かんたん マドリモ」は、既存の窓枠を利用して窓交換ができます。2024年1月に発売した中層建築物向けユニタイズドカーテンウォール「SYSTEMA 81u」は、工場で一貫生産された完成品ユニットをクレーンでつり込むユニット工法で設置できるため、建設現場で足場が不要になります。工期を短縮することで、施工技能者の省人化を実現します。

かんたん マドリモ 写真 かんたん マドリモ
SYSTEMA 81u 写真 SYSTEMA 81u

●自然災害の頻発や激甚化

台風や大雨・大雪など、頻発・激甚化する自然災害に備え、各国/地域に合わせた商品をラインアップしています。業界トップクラスの耐積雪・耐風性能を持つカーポート「ジーポート Pro」シリーズの他、米国ではハリケーン・防爆対応商品「ProTek®」を展開。台風被害の多い台湾では、高水密サッシ「YRB-A」が基幹商品となっています。

ジーポート Pro 写真 ジーポート Pro
ProTek®(米国) 写真 ProTek®(米国)
YRB-A(台湾) 写真 YRB-A(台湾)

●安全・安心/健康・快適

安全・安心や健康・快適に貢献する商品の開発にも注力しています。「ルシアスバルコニー」は子どものよじ登りや転落防止に配慮した商品です。戸建住宅用自動ドアとして業界初の顔認証キーを搭載した「M30 顔認証自動ドア」は、磁力で開閉するリニアシステムと連動させ、安全性と利便性を両立しました。
室内環境の質の向上や衛生的な暮らしの形成においては、換気が重要です。ドアを閉めたまま自然の風を取り込む「通風ドア」、障子自体がバランスを取り効率良く換気を行う「自然換気窓(バランスウェイ)」などにより、室内の快適性を向上させています。

ルシアスバルコニー 写真 ルシアスバルコニー
M30 顔認証自動ドア 写真 M30 顔認証自動ドア
EXIMA 31 バランスウェイ 写真 EXIMA 31 バランスウェイ
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