ガバナンス
コーポレートガバナンス
コンプライアンス
コーポレートガバナンス
基本的な考え方
YKK APは、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」というYKK 精神「善の巡環」を基本とし、一貫して公正であることをあらゆる経営活動の基盤としています。こうした考えに沿って、より一層の企業価値の向上を図ることを目的としたコーポレートガバナンス体制の充実をめざします。意思決定機関および監督機関としての取締役会、監査機関としての監査役会という機関制度を基本として、執行役員制度により事業・業務執行を推進する体制をとっています。
役員構成
取締役数、監査役数 | 2025年(8月現在) |
---|---|
取締役総数 | 11名(員数は11名以内) |
うち取締役(社外) | 1名 |
監査役総数 | 4名 |
うち監査役(社外) | 2名 |
役員の経歴・出席回数
取締役 | 経歴 | 出席回数 |
---|---|---|
取締役会議長 代表取締役会長 YKK株式会社 取締役 堀 秀充 |
1981年3月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 1989年より2006年まで米国勤務 2000年1月 YKKコーポレーション・オブ・アメリカ上級副社長 経営企画担当 2006年10月 経営企画室長 2007年4月 執行役員 経営企画室長 2009年4月 上席常務 事業本部長 2009年6月 取締役 上席常務 事業本部長 2011年6月 代表取締役社長 2023年4月 代表取締役会長(現在) 2023年6月 YKK株式会社取締役(現在) |
14/14回 |
代表取締役社長 魚津 彰 |
1985年3月 入社 2013年4月 執行役員 営業本部 窓事業企画部長 2017年4月 執行役員 住宅本部長 2019年4月 執行役員 営業本部長 2021年4月 上席執行役員 住宅本部長 2021年6月 取締役 上席執行役員 住宅本部長 2022年4月 取締役 副社長 海外担当 2023年4月 代表取締役社長(現在) |
14/14回 |
取締役副会長 山地 慎一郎 |
1981年3月 入社 2009年4月 常務 事業本部 住宅建材事業部長 2012年4月 常務 事業本部 関西統括支店長 2013年4月 執行役員 営業本部 関西支社長 2014年4月 執行役員 営業本部長 2017年4月 副社長 営業担当(兼)営業本部長 2019年4月 副社長 営業担当 2020年6月 取締役 副社長 2023年4月 取締役副会長(現在) |
14/14回 |
取締役 副社長 監査本部長 岩渕 公祐 |
1986年3月 入社 1996年より2009年まで米国・中国勤務 2009年4月 執行役員 経営企画室長 2012年4月 常務 経営企画室長 2013年4月 執行役員 経営企画室長 2016年4月 副社長 管理担当 2016年6月 取締役 副社長(現在) |
14/14回 |
取締役 副社長 阿部 浩司 |
1985年3月 入社 2014年4月 執行役員 生産本部 九州事業所長 2015年4月 執行役員 生産本部 九州製造所長 2019年4月 執行役員 生産本部 黒部製造所長 2021年4月 上席執行役員 生産本部長 2022年4月 副社長 製造・供給担当(兼)生産本部長 2023年6月 取締役 副社長(現在) |
14/14回 |
取締役 副社長 海老原 功一 |
1984年3月 入社 2014年4月 執行役員 営業本部 関西支社長 2018年4月 執行役員 リノベーション本部長 2020年4月 執行役員 営業本部 住宅首都圏統括支社長 2021年4月 上席執行役員 住宅本部 首都圏統括支社長 2022年4月 上席執行役員 住宅本部長 2023年4月 副社長 営業担当 2024年6月 取締役 副社長(現在) |
12/14回 |
取締役 松谷 和男 |
1981年3月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 2009年4月 執行役員 事業本部 東京住宅建材統括支店長 2011年4月 常務 事業本部 東京住宅建材統括支店長 2012年4月 常務 生産本部長 2013年4月 執行役員 生産本部長 2014年4月 執行役員 生産本部 東北事業所長(現 東北製造所長) 2016年4月 執行役員 生産本部長 2016年6月 取締役 執行役員 2018年4月 取締役 副社長 2021年10月 取締役 副社長 CHRO 2023年4月 取締役 CHRO 2025年4月 取締役(現在) |
14/14回 |
取締役 水上 修一 |
1985年7月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 2009年4月 専門役員 開発本部 開発企画部長 2010年4月 執行役員 事業本部 商品企画部長 2011年4月 常務 事業本部 商品企画部長 2013年4月 執行役員 開発本部 商品企画部長 2017年4月 執行役員 開発本部長 2020年6月 取締役 執行役員 2021年4月 取締役 上席執行役員 2022年4月 取締役 副社長 2025年4月 取締役(現在) |
14/14回 |
取締役 YKK株式会社 代表取締役会長 大谷 裕明 |
1982年 3月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 1984年12月より2014年3月まで香港、中国勤務 2014年4月 同社 副社長 ファスニング事業本部長 2014年6月 同社 取締役 副社長 ファスニング事業本部長 2017年4月 同社 代表取締役社長 2025年4月 同社 代表取締役会長(現在) 2025年6月 当社取締役(現在) |
- |
取締役 YKK株式会社 取締役 年金政策担当 CFO 副社長 管理本部長 本田 聡 |
1989年4月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 1991年3月より2009年3月まで米国勤務 2009年4月 同社常務 経営企画室長 2013年4月 同社執行役員 経営企画室長 2016年4月 同社執行役員 経営企画室長(兼)グループ執行役員 南米担当 2017年4月 同社執行役員 経営企画室長 2019年4月 同社副社長 経営管理担当(兼)経営企画室長 2020年4月 同社副社長 経営管理担当 2020年6月 同社取締役 年金政策担当 CFO(最高財務責任者) 副社長 財務政策・経営管理担当 2021年4月 同社取締役 年金政策担当 CFO 副社長 管理本部長 2023年4月 同社取締役 年金政策担当 CFO 副社長 経営管理担当(兼) 管理本部長 2025年4月 同社 取締役 年金政策担当 CFO 副社長 管理本部長(現在) 2025年6月 当社取締役(現在) |
- |
取締役(社外) 井上 智子 |
1983年4月 日野自動車工業(現 日野自動車)株式会社入社 2017年4月 同社参与 2019年6月 同社常勤監査役(現在) 2024年6月 当社社外取締役(現在) |
12/14回 |
2025年6月時点
監査役 | 経歴 | 出席回数 |
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監査役会議長 監査役(社外) 八馬 史尚 |
1983年4月 味の素株式会社入社 2013年6月 同社執行役員 2015年6月 同社常務執行役員 株式会社J-オイルミルズ 代表取締役社長 2016年6月 同社代表取締役社長執行役員 2022年4月 同社取締役(2022年6月まで) 2023年5月 株式会社セブン&アイ・ホールディングス 社外取締役(現在) 2023年6月 当社社外監査役(現在) 株式会社SUBARU 社外取締役(現在) |
11/14回 |
監査役(常勤) 宮村 久夫 |
1978年3月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 2002年12月より2008年3月まで中国に海外勤務 2008年4月 同社 執行役員 グループ財務・経理センター長 2009年4月 同社 常務 グループ財務・経理センター長 2011年4月 同社 常務 財務・経理センター長 2012年4月 同社 常務 財務・経理部長 2013年4月 同社 執行役員 財務・経理部長(2018年3月まで) 2018年6月 当社 常勤監査役(現在) |
14/14回 |
監査役(常勤) 大谷 渡 |
1981年3月 吉田工業(現 YKK株式会社)入社 2001年4月 同社 常務 経営企画室長 2004年4月 同社 上席常務 経営企画室長 2004年6月 同社 取締役 上席常務 経営企画室長 2006年4月 同社 取締役 コンプライアンス担当 上席常務 経営企画室長 2009年4月 同社 取締役 副社長 技術力強化推進担当 2010年4月 同社 取締役 副社長 工機技術本部長 2017年4月 同社 取締役 副社長 事業競争力強化担当 2018年6月 当社 取締役 副社長 リノベーション担当 2022年4月 当社 取締役 副社長 業務改革担当 2023年4月 当社 取締役(2024年6月まで) 2025年6月 当社 常勤監査役(現在) |
- |
監査役(社外) 関口 美奈 |
1993年4月 アーサーアンダーセン・ダラス事務所入所 2022年6月 リゾナンシア合同会社 代表(現在) 五洋建設株式会社 社外取締役(現在) 2022年9月 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 監事(現在) 2022年10月 EX4Energy株式会社 社外取締役(現在) 2023年6月 当社社外監査役(現在) |
12/14回 |
2025年6月時点
取締役会、監査役会の活動実績
取締役会(2024年度実績) | 開催回数 | 14回(臨時取締役会含む) |
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平均議題数 | 11件 | |
1回当たり 平均開催時間 |
3.5時間 | |
主な議題・報告事項 |
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経営戦略会議の開催 |
YKKグループの経営理念・経営方針・経営戦略および重要な取締役会決議事項に関して十分な討議を行い、その審議を経て取締役会の決議を行うことにより、取締役会における審議の効率化を図っています。 |
監査役会(2024年度実績) | 開催回数 | 14回(臨時監査役会含む) |
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平均議題数 | 3件 | |
1回当たり 平均開催時間 |
1.5時間 | |
重点監査項目 |
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スキル・マトリックス
区分 | 氏名 | 企業経営 | グローバル | 専門分野 | ||||
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営業・ マーケ ティング |
製造・技術 | 財務・会計 | 組織・人事 | 法務・ コンプラ イアンス |
||||
取締役 | 堀 秀充 | ● | ● | ● | ● | ● | ||
魚津 彰 | ● | ● | ● | |||||
山地 慎一郎 | ● | |||||||
岩渕 公祐 | ● | ● | ● | ● | ||||
阿部 浩司 | ● | |||||||
海老原 功一 | ● | |||||||
松谷 和男 | ● | ● | ● | |||||
水上 修一 | ● | |||||||
大谷 裕明 | ● | ● | ● | |||||
本田 聡 | ● | ● | ● | |||||
井上 智子(社外) | ● | ● | ● | |||||
監査役 | 八馬 史尚(社外) | ● | ● | ● | ● | |||
宮村 久夫 | ● | ● | ||||||
大谷 渡 | ● | ● | ● | ● | ||||
関口 美奈(社外) | ● | ● | ● | ● |
上記は各人の有するすべての専門性・知見・経験を表すものではありません
取締役の個人別報酬等の決定に関する方針
YKK APの取締役の報酬は、企業価値を持続的に向上させ、株主に対する安定配当を実施することとの整合性を勘案し、かつ業績向上の意識を高めるべく当社業績を考慮した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としています。具体的には、取締役の報酬は、基本報酬および取締役賞与により構成します。
コーポレートガバナンスの機能(委員会)
YKKグループの委員会
※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。名称 | 委員数、開催回数 | 概要 |
---|---|---|
YKK指名・報酬委員会 |
委員数 5名(YKK社外取締役2名) 2024年度の開催回数 11回 |
YKKグループでは諮問機関として、指名・報酬委員会をYKKに設置し、YKK取締役会の決議によって委員を選任しています。取締役、監査役、執行役員、専門役員の選解任と報酬などに関する審議を行い、YKK取締役会、YKK AP取締役会に答申します。 |
YKK指名・報酬委員会の委員数は2025年6月時点
YKK APの主な委員会
※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。名称 | 委員数、開催回数 | 概要 |
---|---|---|
コンプライアンス委員会 |
委員数 15名 2024年度の開催回数 2回 |
当社および子会社のコンプライアンス体制の整備を図っています。コンプライアンス担当取締役を任命し、コンプライアンス体制の整備・遵守の状況等につき、取締役・監査役に報告を行います。 |
懲戒委員会 |
委員数 60名 2024年度の開催回数 19回 |
当社および子会社の就業規則の規定に基づき、懲戒対象行為があったと疑われるときに、懲戒事実の認定および懲戒内容の決定を行い、公正な懲戒運用を行っています。 |
投資委員会 |
委員数 7名 2024年度の開催回数 10回 |
重要な投資案件に対して、投資経済性計算、資本コスト、フリーキャッシュフロー、またカーボンニュートラル促進のためのICPを設定し、審議を行います。これらの審議を経て取締役会の決議を行うことにより、取締役会における審議の効率化を図っています。 |
発明報奨委員会 |
委員数 21名 2024年度の開催回数 3回 |
発明報奨委員会を設置し、発明報奨制度を適正に運用します。また、従業員の発明意欲を高め、事業競争力の源泉になる知的財産の継続的な創出を促します。 |
環境政策委員会 |
委員数 12名 2024年度の開催回数 1回 |
環境政策委員会を設置し、当社における環境方針・戦略の策定、環境政策推進の監督を行っています。また、環境委員会では、事業執行部門による政策の推進と施策の企画立案、進捗管理を行っています。 |
環境委員会 |
委員数 65名 2024年度の開催回数 4回 |
|
リスク関連(5)委員会 |
|
CRO(最高リスクマネジメント責任者)を任命し、YKK APにおけるリスクマネジメントを推進するため、品質委員会、貿易管理委員会、BCM委員会、情報セキュリティ委員会、技術資産管理委員会の各種委員会を設置し、規程の整備とその運用を図っています。 |
安全衛生・健康推進委員会 |
委員数 28名 2024年度の開催回数 3回 |
安全衛生・健康推進委員会を設置し、施工現場を含む国内外の災害撲滅と従業員の心身の健康維持・増進を支援する施策の立案と推進、進捗管理を行っています。 |
DX推進委員会 |
委員数 57名 2024年度の開催回数 2回 |
当社における全社DX方針の策定および全社統制を行います。 本委員会では、部門横断的なDX活動を統括し、システム、データ、SoD(職務分掌)の全社ガバナンスを強化することで、全社的なDX推進を加速させ、企業全体の競争力向上をめざします。 |
各委員会の委員数は2025年6月時点
コンプライアンス
基本的な考え方
YKKグループにおけるコンプライアンスとは、「法令や社内ルールを遵守することはもとより、企業活動を行う上で求められる社会規範を遵守すること」を指しています。
コンプライアンスへの取り組みを通して、適切にリスクを管理し健全な企業経営を実現し、さらに企業価値を高めていきます。
企業行動規範
YKKグループではYKK精神、経営理念を踏まえた世界中のYKKグループ社員が実践するための行動規範として、2008年に「YKKグループ行動指針」を策定しました。その後、昨今の社会的要請の変化やサステナビリティの重要性の高まりを受け、2021年度に改定を行いました。適用範囲は、YKKグループの全役員・従業員です。
「YKKグループ行動指針」は7原則と29の細則からなり、これらの原則・細則は、国連グローバル・コンパクトが掲げる10原則や、国際労働機関(ILO)が掲げる基本8条約を参照・準拠しており、SDGsにもつながるものです。世界中の社員一人ひとりがこの「YKKグループ行動指針」を実践し、あらゆるステークホルダーから信頼していただけるよう取り組んでいきます。
YKKグループ行動指針 7原則
コンプライアンス
私たちは、常に法令および社内規則の遵守と、社会的要請への対応を念頭に置き、職務を遂行します。
公正な事業慣行
私たちは、社会と公正かつ健全な関係を保ち、ともに繁栄していくために、信頼に基づいた関係を築きます。
人権の尊重
私たちは、グローバルに事業を展開する企業として、事業活動に関わる人々、地域・社会の人々の人権・人格・個性を尊重します。
環境との調和
私たちは、環境との調和を図り、社会に貢献します。
安全衛生
私たちは、全員参加で働きやすい職場環境を形成します。
商品の品質及び安全性
私たちは、お客様との「信頼」を大切にし、品質への「こだわり」をもって安全・安心な商品・サービスを提供します。
コミュニティへの貢献
私たちは、地域社会とともに成長し、いつの時代も愛される企業でありつづけるために、事業活動を通じた国際社会への貢献活動にも積極的に取り組みます。
コンプライアンス活動の基準となるYKK Global Criteria of Compliance(YGCC)
YKK APでは、YKK精神とISO26000に基づいたYKKグループのコンプライアンス基準である「YKK Global Criteria of Compliance(YGCC)」を定め、国内外の拠点において浸透を図っています。
自己点検、内部監査といったYGCC監査を定期的に実施し、モニタリング項目の標準化を図ることで、監査プロセスの実効性向上をめざし、改善を続けています。

2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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YKKグローバルコンプライアンス基準(YGCC) 導入拠点数 |
55拠点 (20拠点) |
56拠点 (27拠点) |
57拠点 (27拠点) |
54拠点 (24拠点) |
YKK APグループ(国内+海外)実績 かっこ内は内部監査 実施拠点数
コンプライアンス推進体制
コンプライアンス経営を実現するため、5つのユニット(営業、開発・技術、製造・供給、管理、海外)からなるコンプライアンス委員会を設置し、規程・規則・ガイドラインの遵守などモニタリングを強化しています。

内部通報制度
YKKグループでは「YKKグループ内部通報制度」を2006年から導入し、法律や就業規則、社内規程に違反するような行為について、匿名で社内・社外に設けた窓口に相談・報告できる仕組みを運用し、全利用者への周知を行っています。また通報者保護の原則により、相談したことによる不利益な取り扱いを禁止しています。2024年度は、日本窓口に71件の相談・報告が寄せられました。
職場環境、心の悩み、健康について対応する相談窓口も設け、従業員の心身の健康にも配慮しています。海外会社においても、内部通報制度を導入し、相談・報告できる仕組みを整えています。
さらに2023年7月には、「YKKグループお取引先様相談・通報窓口」を新たに設置し、企業活動などで生じる人権侵害から自社に関わる人々の救済の実施に努めています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
内部通報件数の推移 | 42件 | 49件 | 59件 | 71件 |
YKK APグループ(国内)に関して日本窓口で受け付けた合計件数
行動規範の実践
[経営理念浸透活動]
YKK APでは、事業の持続的成長を支える人・風土づくりのために経営理念浸透活動を積極的に推進しています。
経営理念浸透活動の対象となる理念には、YKK精神「善の巡環」、経営理念「更なるCORPORATE VALUEを求めて」に加え、「コアバリュー」やYKK APのパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」があります。
「コアバリュー」は、2007年にYKKグループとして多くの社員へのインタビューなどを行い、取りまとめられた3つの基本的価値観です。
YKK AP独自の理念であるパーパス「Architectural Productsで社会を幸せにする会社。」については、2021年にYKK APの若手社員を中心としたプロジェクトにより、自社の社会的な存在意義として定められました。
これらの経営理念を全社員に浸透させる活動を通じて、会社全体および部門全体の一体感の醸成を図っています。
具体的な活動として、国内においては「語らい会」「コアバリュー実践度チェックシート」等の取り組みを行っています。「語らい会」では、各部門長が自らの言葉で経営理念について社員と語りあっています。日本国内の全拠点で毎年開催することで、コミュニケーションによる意識の向上を図っています。2024年度も、国内の約2,000の部門すべて(営業、開発、技術、製造、管理部門)で実施されました。また、社内面談の際には「コアバリュー実践度チェックシート」を用い、社員一人ひとりが自身の行動を振り返ることで、コアバリューについて考える機会を創出しています。
海外の事業会社においても、積極的に経営理念浸透活動が行われています。例えばアメリカにおいては、基本行動「Fundamental Behaviors」を25テーマ定義し、各テーマに沿った社員の行動事例を全社員に向けて社内掲示板やメールで共有しています。これらの事例は主要会議の冒頭で紹介し、議論を深めるといった取り組みも行われています。また台湾社においては、全従業員を対象とした「経営理念及びコンプライアンスに関するオンライン研修会」を実施しています。
リスクマネジメント
基本的な考え方
YKK APの経営・事業戦略の実現と持続的な成長をけん引するため、マテリアリティに掲げる「レジリエントな経営基盤」のもと、リスクマネジメントの強化に取り組んでいます。発生したリスク事案に対する被害を最小化する迅速かつ的確な初動・復旧対応に加え、事業におけるリスクの予見・予防・コントロールを図るための体制の構築を進めています。
リスク管理体制の強化と有事におけるガバナンス体制を確立するため、リスクマネジメントの推進に当たっては、CRO(最高リスクマネジメント責任者)のもと、品質委員会、貿易管理委員会、BCM委員会、情報セキュリティ委員会、技術資産管理委員会の各種委員会を設置し、規程の整備とその運用を図っています。
YKK APリスクマネジメント方針
事業におけるリスクの予見・予防・コントロールを行い、社員の安全確保と経営資源の損失の低減または回避を図り、有事の際には被害ならびに損害の最小化と事業の早期回復を図るようリスクマネジメントを推進し、持続的な成長と企業価値向上につなげる。
リスクマネジメント推進体制
リスクマネジメントの推進にあたっては、第1線である基本5ユニット(営業、開発・技術、製造・供給、管理、海外)がリスク活動の主体となり、第2線であるリスク管理部門・委員会は専門的な知見や知識をもって第1線のリスク活動を支援、第3線である監査本部は、第1線と第2線のリスク活動の有効性を監査するという3線モデルに基づく体制としています。さらに、YKKグループのコンプライアンス基準である「YKK Global Criteria of Compliance(YGCC)」をベースにリスクマネジメント活動のセルフチェックもできるようにすることで、それぞれの役割や推進担当者・部門を明確にし、活動の実効性を高めています。

重要リスク特定プロセス
2024年度に重要リスク特定プロセスを見直し、リスク管理部門へのヒアリングに加えて事業部門へのアンケートや経営層へのインタビューによりリスクの抽出や分析を行い、評価にあたっては発生可能性や影響度に加え、レピュテーションリスクや内的・外的要因を踏まえてリスクのレベルを判断しています。その上で取締役会での討議・決議を行い、重要リスクを特定しています。
主な重要リスクへの取り組み
2025年度は主な重要リスクとして、システム障害やサイバーセキュリティ、大規模自然災害、製品欠陥事故・リコールなど、27分類を定めました。これらに対して優先的に経営資源を投下し、体制構築や対策を実行していきます。
リスク分類 | 2025年度の主なリスク対策 |
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システム障害・サイバーセキュリティ |
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大規模自然災害 |
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製品欠陥事故・リコール |
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火災・爆発 |
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業務上の法令違反 |
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安全衛生リスク |
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ガバナンスリスク |
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コンプライアンスリスク |
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リスクマネジメントの実効性を評価するため、マテリアリティに5つの指標を設けました。「リスク関連教育受講率」は、近年増加するサイバー攻撃やフィッシングメール、法令違反や不正を防止する観点から、社員一人ひとりのリスク感度を高めていくための指標(2028年度目標95%)として、「BCP策定拠点数」は、国内外全拠点でのBCPの確実な策定・運用を確認する指標として設定しています。「重大品質・PL事故件数」「重大サイバーインシデント件数」「重大法令違反件数」は、日々の取り組みがリスク低減につながっていることを示す指標としています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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リスク関連教育受講率※1 | - | - | - | 79% |
BCP策定拠点数※2 | - | - | - | 64拠点 |
重大品質・PL事故件数※2 | - | - | - | 1件 |
重大サイバーインシデント件数※2 | - | - | - | 0件 |
重大法令違反件数(リスク関連(5)委員会領域)※2 | - | - | - | 0件 |
※1 YKK APグループ(国内)実績
※2 YKK APグループ(国内+海外)実績
BCM(事業継続マネジメント)の取り組み
重大有事に対する適切な事業継続能力を獲得することをめざし、大規模自然災害、サプライチェーンの遮断、サイバー事故、感染症拡大等、オールハザードベースでの初動対応・BCPを迅速に実行できる体制の準備と訓練を繰り返し行い、組織力の向上を図っています。
基本方針の1番目には、「人命第一、安全確保、二次災害の防止等を優先」を掲げています。2024年度は、首都直下地震や南海トラフ地震を想定し、エリアをまたいだ製販合同での訓練、営業責任者向けの説明会、首都圏被災時に現地対策本部の代行拠点となる黒部との連携訓練などを実施しました。訓練によって明確になった課題に対しては、拠点ごとに対策方法を検討し、BCPの見直しや今後の訓練に生かします。また、避難訓練の対象にトラックのドライバーや食堂に勤務するスタッフなど外部の協力会社の方を含めるなどの取り組みも推進しています。
情報セキュリティ
基本的な考え方
YKK APでは情報資産をさまざまな脅威から保護し事業継続性を確実なものとするとともに、万が一の際にも事業への損害を最小限に抑えるための取り組みを行っています。情報セキュリティリスクは最重要リスクであるという認識のもと、国内外、関係会社も含めた事業横断的なセキュリティ強化に取り組むことで、持続的な成長につなげ、投資対効果と事業機会を最大化していきます。
情報セキュリティに関する行動規範
情報セキュリティ体制
YKK APにおける情報セキュリティ推進体制として、情報セキュリティ委員会を設けています。全部門に落とし込むための縦軸となる機能推進体制、および専門領域別に施策推進を行うための横串となる専門部会体制の2軸で、全社横断的な情報セキュリティ施策を推進しています。
機能推進体制では組織内のモニタリング活動を実施し、各種規程の遵守状況や情報セキュリティ教育の浸透度を定期的に確認しています。このような継続的なモニタリングを通じて、情報セキュリティ管理体制の高度化を図っています。

顧客情報の取り扱いについて
YKK APではお客様の個人情報を適切に管理、運用するため、国内において個人情報取扱認定店制度を設けています。個人情報取扱認定店制度では、個人情報漏洩の予防を目的として、当社が委託先(一次店)に提供する個人情報の管理レベルの改善および向上を図るため認定店向け研修会の実施や誓約書の締結を推進しています。
認定店に対しては個人情報の取り扱いに関する実効性を検証するためモニタリングを実施し、個人情報の適切な管理を行います。
情報セキュリティ対策について
YKK APは、情報セキュリティ対策として、グローバルを含め全社的にEDR※1を導入し、サイバー攻撃に対する監視体制を高度化しています。また、情報セキュリティインシデント発生時には、速やかに情報セキュリティ委員会へエスカレーションする体制を構築し、その旨をグローバルにわたる全従業員に周知しています。万一インシデントが発生した場合には、情報セキュリティ委員会が中心となり、インシデントのリスクレベルに応じて迅速かつ適切な対応を実施することで、被害の最小化と再発防止に努めます。
※1 EDR(Endpoint Detection and Response):コンピュータなどのエンドポイントデバイスにおける不審な動作や攻撃を監視し、迅速な対応を行うためのシステム
情報セキュリティ教育
YKK APでは、グローバルにわたる全社員を対象に情報セキュリティ意識の向上と習慣化を目的とした教育を体系的に実施しています。
国内における教育内容としては、セキュリティ情報の流出による会社としてのリスクや、身近に起こり得る事例をeラーニングで学習する他、年2回の標的型メール攻撃訓練を実施しています。社員の学習結果に応じたきめ細やかなフォローアップを通じて、全社員が情報セキュリティに関する正しい知識と対応を確実に身につけられるよう努めています。
また、会社として情報セキュリティ関連資格の取得を奨励することで、社員全体のITリテラシー向上を支援しています。
その他、緊急時における事業継続能力の向上のため、年1回、システム利用者と運用者が合同となり、サイバー攻撃によるシステム停止を想定した実践的シナリオに基づくBCP(事業継続計画)訓練を実施しています。
さらに、WPS(ワークプレイスセキュリティ)による全員参加での作業環境の点検を通して、情報セキュリティの実践に努めています。
海外においても、国内で培った教育内容を横展開するとともに、各国の事情に合わせた固有の教育を実施することで、グローバル全体での情報セキュリティ強化を推進しています。