水保全

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安全な水とトイレを世界中に つくる責任 つかう責任 海の豊かさを守ろう

 YKK APでは、社会との共存共生のため、取水量の削減や排水の環境負荷低減を行い「持続的な水利用の実現」に向けた取り組みを推進しています。

社会的背景/YKK APの目指す姿

社会的背景

【人口と水需要の現状・見通し】 国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2025」によると、世界の総人口は2025年時点で約82億3,200万人に達しており、過去最高水準を更新し続けています。また、国連世界水開発報告書(2025年版)によると、世界の淡水取水量は2000年から2021年の間に14%増加しており、年間平均約0.7%のペースで拡大しています。この増加は人口増加そのものよりも、急速な都市化や社会経済的発展(特に新興国の経済成長)が主な要因とされています。

【深刻化する水ストレス・水破産の危機】 これらの背景や気候変動に伴う季節変動の激甚化により、現在すでに世界人口の約半分(約40億人)が、年間で少なくとも1ヶ月は深刻な水不足を経験しています。また、毎年25カ国(世界人口の4分の1に相当)が「極めて高い水ストレス」に直面しています。さらに、2026年には国際連合大学(UNU)が、水の過剰利用や汚染によって多くの水システムが回復不能になり、地球規模での「水破産(Water Bankruptcy)」の時代に突入したと警告する報告書を発表しました。

【企業に求められる役割】 こうした危機的な状況を受け、SDGs Goal 6(安全な水とトイレを世界中に)の達成、および自社の事業継続(ビジネスレジリエンス)の観点から、企業に対しては単なる節水にとどまらず、取水量の削減、徹底した汚染防止など、安全な水資源の持続可能な利用への積極的な取り組みが強く求められています。

YKK APの目指す姿

 YKK APの事業活動の中でも水を使用しています。水を重要な資源と考え地域と共に持続可能な利用を目指していきます。

事業活動と水の関わり

 YKK APでは主に生産工程において、洗浄水や冷却水として水の利用があります。地域によって規制や制限が異なりますが、取水については循環利用の推進による削減、排水についてはより厳しい自主管理基準を用いて汚染の防止に努めています。

環境長期ビジョン

 YKK APでは、取水の削減、排水の負荷低減を行い、地域と共生しながら持続的な水利用の実現に向けて取り組んでいきます。

YKK APにおけるリスクと機会

  短期 長期
リスク 工場からの異常排水の排出による周辺地域の汚染
使用量の増加による渇水、地盤沈下
汚染による継続利用の不可、周辺環境や生態系への影響
機会 水リスクへの対応による地域生態系の維持、保全
継続的な水資源の活用
周辺地域のみならず地球環境負荷低減、事業活動の継続

2025年度の総括と今後の展開

取り組みと課題

 事業活動における水使用量の削減の取り組みとして、洗浄水の多段利用(使用後の水を他用途に活用)、冷却水の循環利用またムダの削減による使用量見直しを中心に活動を行っています。これまでもアルミ形材製造や樹脂形材製造を中心に冷却ユニットを導入し再利用を進めております。また、一部の冷却水やトイレにおいて、雨水の活用を進めております。

滑川製造所で導入した冷却ユニット

埼玉工場と雨水利用の概念図

 拠点ごとの取水に関わるリスクの有無や水のリサイクルによる循環使用の状況、排水の自主管理基準の強化等進めており、2025年度も継続してリスクが高くなる可能性のある海外の主要製造拠点においてYKKグループ独自の水リスクチェックシートを用いてリスクの把握を行いました。YKK APの製造拠点の多くは水ストレスの比較的低いエリアで活動しており直ちに脅威となるリスクは確認できませんでしたが、今後もチェックシートの内容を見直しながら水リスクに対応していく予定です。

 外部からの評価として、2024年8月に創設された、水循環に資する取り組みに関心のある企業や取り組みを実施している企業を積極的に登録・認証する制度である「水循環企業登録・認証制度」にて、YKK APが「水循環ACTIVE企業」に認証されました。YKK APは水量や水質など直接的に水循環に貢献する「水量水質」と、人材や資金、機械などを介して間接的に水循環に貢献する「人材資金」の両カテゴリーで認証を取得しました。

水循環認証 ACTIVE

モノづくり

目標の達成状況

 水使用量については、当初計画より削減が進んだこともあり中期計画の前倒しでの達成を見据え、2025年度は使用量で2013年度比37%、原単位で57%の削減を目指しました。取り組み実績としては、工業用水の受け入れ量の見直しや洗浄水の多段利用、配管更新による漏洩対策などを実施し、結果として使用量で36%、原単位で54%の削減となりました。

※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。
テーマ 基準年度 2025年度実績 2026年度目標 2028年度目標
水リスク評価 水リスク
評価実施
リスク低減
水リスク
評価実施
リスク低減
水リスク
評価実施
リスク低減
水使用量の削減 2013年度 2013年度比
・使用量 36%削減
・原単位 54%削減
2013年度比
・使用量 38%削減
・原単位 59%削減
2013年度比
・使用量 40%削減
・原単位 66%削減

水使用量の推移 YKK APグループ(日本・海外製造拠点)

※21年度より取水量の計測方法を見直しており昨年度までの数量と差異があります。

汚染の予防について(水質)

 YKK APでは製造からの排水に関して、これまでの分析結果より統計的に算出したより厳しい自主管理基準を設定しております。また、水門などの機器に関しても緊急時の訓練や定期の点検で動作確認を行い汚染の防止に努めております。詳細なデータについては「<サステナビリティデータブック>水中排出汚染物質 総重量」に記載してあります。

水リスク評価

 YKKグループでは独自の水リスクチェックシートを用いて評価していますが、取水リスクについてはWorld Resource Institute(世界資源研究所)が提供するAqueduct4.0(2023年公開)を用いて水ストレスについて評価を行いました。水ストレスは1人当たりの年間使用可能水量を5段階(1.低い~5.極めて高い)で評価しております。YKK APでは5つの拠点(中国、インド、タイ、インドネシア、カナダ)でリスクの高い地域となっていました。また、ランク別に水使用量を比較するとリスクの高いまたは極めて高い地域での水使用量は全体の2.2%となりました。これは前年比で約40,000m3の削減となり、全体に占める割合も-0.8%となりました。
 今後もリスクについては継続的に把握し、優先的に削減を進めていきます。

水ストレス別水使用割合
2025年度 YKK APグループ(日本・海外製造拠点)実績 7.99百万m3

※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。
拠点 水使用量(m3 水ストレス
2021 2022 2023 2024 2025 Aqueduct4.0
エリーAP社   2,840 2,399 7,209 5
YKK AP大連社 12,114 11,270 12,861 12,368 11,791 5
YKK AP蘇州社 124,770 142,156 104,380 108,759 88,735 5
YKK APインドネシア社 54,117 71,960 81,417 77,921 42,913 4
ボルーカ社 9,238 13,135 11,226 13,573 13,870 4
サイアムメタル社 10,519 5

※水ストレス:1.低い~5.極めて高い

取水元、排水先について

 取水源別のデータでは約53%が市町村等公共機関からの外部購入で、47%が敷地内からの地下水の利用となりました。排水先は多くが海や河川といった公共水域となっております。

取水源の内訳
2025年度 YKK APグループ(日本・海外製造拠点)実績

排水先の内訳
2025年度 YKK APグループ(日本・海外製造拠点)実績

今後の取り組み

 2026年度以降もKPIとして水使用量の削減を目標に掲げ取り組みを進めます。また。水リスク評価の継続、排水負荷低減に取り組みを継続し、地域の特性や規制、課題にあわせた取り組みを実施していきます。

テーマ 活動内容
水リスクへの対応 製造拠点における水リスクの定期的な評価の継続
水使用量の削減 節水、リサイクルの推進、技術調査
排水負荷低減 自主管理基準の継続的な見直しと監視体制強化