グローバルな環境経営度向上

関連するSDGs

つくる責任 つかう責任 働きがいも経済成長も 住み続けられるまちづくりを 平和と公正をすべての人に

環境経営体制

 YKK APでは環境関連法規制および協定、自主管理基準を順守するとともに、事業におけるリスクと機会を明確にし、トップマネジメントによるグローバルな環境経営の強化に取り組んでいます。
 また、環境マネジメントシステムを体系的に運用するために、YKK APグループ(国内)では全社統合したISO14001を運用しています。海外拠点では各拠点でISO14001を取得、運用し、全社員一丸となって環境経営に取り組んでいます。

方針・考え方

 YKK APでは社会的責任を果たすための「信用・信頼」という観点から環境コンプライアンスの維持を重要なテーマと考えております。

YKK APの目指す姿

 環境コンプライアンスの維持はもちろん、周辺への汚染・流出防止を積極的に進め地域、社会から信用、信頼される企業を目指します。
 以下の各段階においてそれぞれガイドライン、指針を設け、環境への影響を最小化します。

調達段階

調達先に対して、「YKK APグリーン調達ガイドライン」「YKK AP化学物質管理指針」 を配付、CSRアンケート(環境に関する項目を含む)を実施し、環境に対する取り組み状況を確認

開発段階 製品構成材料中の有害化学物質含有チェックおよび再生・持続可能な資源の利用を推進
製造段階 製造で使用する有害化学物質の削減、外部への排出を抑制
使用、廃棄段階 地球環境負荷を低減するエコプロダクツの拡販、普及

2024年度の総括と今後の展開

 2024年度は環境法規制違反や外部への流出、および罰金はありませんでした。2024年度の活動としては緊急事態訓練の実施や内部監査、外部審査を行い環境管理レベルの向上を図っています。
 また今年度は毒劇物をはじめとした有害化学物質の管理について強化を行っております。
 今後はよい事例や指摘事項の水平展開を海外、関連会社も含め環境経営の向上に取り組んでまいります。

【評価】○:達成、△:一部未達、✕:大幅未達

※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。
テーマ 2024年度計画 2024年度実績
環境コンプライアンスの維持 国内、海外の公害・環境問題発生件数ゼロ
化学物質管理 有害化学物質削減に向けた取り組み YKK AP化学物質管理指針改訂
サプライヤーへのヒアリングの実施
品質試験の実施
PRTR法対象物質の排出量把握
(YKK AP 単体)
国内工場の化学物質の使用量および排出・移動量を把握

環境リスクへの対応

 環境意識・感度のレベルアップを図るため、第三者目線での環境管理状況のチェックや社内外の環境関連リスク事例を活用したセルフチェックを進めています。
 特に外部へ直接影響のある工場排水や薬品の漏えいについてはリスク早期発見・軽減のために自主管理基準の設定や緊急備品整備を行い管理強化を行ってきました。
 2024年度は緊急事態発生時の機器の動作確認を加えた訓練や外部業者を加えた訓練を各所で実施しました。今後も継続的に実施して更なるリスク軽減に努めていきます。

黒部製造所 油水分離槽の異常対応訓練

黒部荻生製造所 車両周りの油漏れ回収訓練

環境マネジメントシステムの運用、推進

 YKK APでは、コンプライアンスと環境マネジメントシステムの充実を目指し、両者に対する内部環境監査を毎年一回実施しています。
 コンプライアンスについては、YKK APに適用される法律に基づき作成した「法順守チェックリスト」を監査項目に取り入れ、環境マネジメントシステムの運用状況と併せて、拠点別に行う内部環境監査と、全社で行う相互内部環境監査のダブルチェック体制で実施しています。
 上記については、最終的に第三者の外部審査機関に審査、チェックしていただき、環境管理レベルの向上を図っています。

① 内部環境監査

 2024年度は製造所・工場24拠点、管理・営業11拠点で内部環境監査を実施しました。
 また、内部監査結果報告会を開催し、改善指摘事項や良い事例を各拠点で共有し水平展開を行うことで環境管理レベルの向上を行っています。

② 第三者機関による外部審査

 2025年3月には外部審査機関から、YKK APグループ(国内)を対象とした「ISO14001_2015年版」による定期審査を受けました。規格に適合した運用管理のほか、社会的要請、コンプライアンス、地域・社会・社員とのコミュニケーションなど事業活動に係るリスクと機会に対する行動計画の策定やその活動状況について審査していただきました。その結果、環境マネジメントシステムは、環境経営ツールとして有効に機能していると評価されました。また、アルミのリサイクル溶解炉の稼働等による生産設備高効率化活動、廃棄物削減活動、エア漏れ対策等の改善活動、駐車場カーポートを活用した太陽光発電の導入がグッドポイントとして評価されました。グッドポイントについては良い事例として水平展開を行っています。

ISO14001登録証

ISO14001取得状況

 YKK APでは環境負荷の大きな製造拠点においてはISO14001の取得率100%を目指しております。国内においては67%で、今後も海外の拠点での取得を進めていきます。2025年4月時点では、海外会社においては10拠点で取得しています。
 また、営業等の拠点に関してはYKKグループで規定するコンプライアンス基準に基づき定期的に監査を行い順守状況を確認しております。
 2024年度は新たに琉球YKK AP工業(株)がグループに加わって取得率が67%になりました。次年度は統合認証取得に向けて活動していきます。

 会社単位での取得率については以下通りとなります。
[生産会社] 12社(国内3社、海外9社) 取得率国内67%、海外78%
[グループ全体] 30社(日本9社、海外21社) 取得率47%

※表の見切れている部分は横にスライドしてご覧になれます。
  対象社数 取得社数 取得率
製造 国内 3 2 67%
海外 9 7 78%
営業
国内 6 2 33%
海外 12 3 25%
合計 30 14 47%
ISO14001取得状況

コンプライアンスの維持・継続

環境債務の適正管理

 PCB(ポリ塩化ビフェニル)、フロン、土壌、アスベスト、水銀など、製造に関わる環境債務の適正管理と計画的な設備代替化を推進し、コンプライアンスの徹底に努めています。
 今後も引き続き、環境債務に関わるコンプライアンスの維持・継続と更なる管理強化に取り組んでいきます。

◇action1 PCBへの対応

 国内製造拠点で保管(廃棄物)および使用中のPCB(ポリ塩化ビフェニル)含有機器については、適正に保管・管理するとともに、行政に保管・使用状況を報告しています。
 高濃度PCB含有機器については、国の指定機関であるJESCO※1に処理委託し、2013年度までに全47台の処分が完了しています。
 低濃度PCBの含有(0.5%以下)が判明している機器については、YKK APの現地確認や事前審査をクリアした国の無害化処理認定業者に委託し、2026年度までの処理処分完了を目標に処分を進めています。一方低濃度PCB含有の可能性がある1990年以前のコンデンサや塗膜、分析機器についても社内調査を行い、使用状況を把握しており、トランス同様2026年度末までの処分を進めております。

※1 日本環境安全事業(株)

◇action2 フロンへの対応

 フロン排出抑制法では、機器廃棄時の対応に加え、点検や漏えい量の国への報告などが義務付けられております(1,000t-CO2e以上)。2024年度の漏えい量はYKK APグループ(国内)で414.9t-CO2eで、国への報告は不要でした。
 YKK APでは全拠点にフロン管理担当者を選任し、製造・営業拠点のフロン含有機器や定期・簡易点検結果を一元管理して法令遵守を徹底しています。
 点検の実施状況は各エリア責任者で確認し、内部監査において確認を行っております。
 冷媒管理に関する書類の作成、交付、保存等すべてを電磁的に行うことができるクラウド・システムを国内製造・営業拠点で導入し、フロン管理の効率運用・強化に取り組んでおります。
 今後も漏えい防止の対策・管理を行うとともに、温室効果の小さい冷媒への代替化を進めてまいります。

化学物質管理

 有害性の高い化学物質の使用・排出を削減し、安心・安全な商品の提供及び環境負荷の最小化に努めています。

◇action1 有害化学物質削減に向けた取り組み

 有害化学物質による環境負荷低減、法規制遵守を行い適切に管理をすることを目的として化学物質管理指針を改訂しました。
 開発時に商品を構成する部品・材料等の含有化学物質を把握・管理レベルを明確化し、使用すべきではないと判断された物質についてはサプライヤーへのヒアリングや品質試験を実施して代替化に取り組んでいます。

◇action2 製造工程で使用する化学物質の管理強化

 製造工程で使用する化学物質については、毒物劇物取締法や消防法(危険物他)など、コンプライアンスの管理強化と徹底に努めています。
 2024年度は海外拠点での有害物質の使用履歴調査を実施しグローバルでの管理強化を図っております。
今後も引き続き、製造工程の化学物質管理状況チェック体制を継続するととともに、使用・保管・管理状況の更なるレベルアップに取り組んでいきます。

◇action3 PRTR法※1対象物質の排出量把握

 国内工場で使用されるPRTR法対象物質について使用量及び排出・移動量の把握し、削減検討を行っています。

※1 特定化学物質の環境への排出量等及び管理の改善の促進に関する法律

◇action4 汚染の予防について(大気)

 生産時に発生する大気汚染物質について把握を行っております。
ばい煙発生施設からの排ガスについては定期的な分析より把握しており、過去の実績から統計的に自主管理基準を設定し汚染の防止に努めています。