リスクマネジメント
ガバナンス基本的な考え方
マテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げる「レジリエントな経営基盤」の実現に向け、リスクマネジメントの強化を図っています。リスクの予防・予見・コントロールを基盤に、リスクマネジメントを推進する5つの委員会(品質、貿易管理、BCM、情報セキュリティ、技術資産管理)による規程の整備とその運用に加え、専門知識や知見をもとにした事業部門のリスク活動支援、平時でのBCP(事業継続計画)準備や教育、有事におけるガバナンス体制の確立によりレジリエンスを高めています。
リスク管理体制の強化
リスクマネジメントの推進にあたっては、第1線である基本5ユニット(営業、開発・技術、製造・供給、管理、海外)がリスク活動の主体となり、第2線であるリスク管理部門・委員会は専門的な知見や知識をもって第1線のリスク活動を支援、第3線である監査本部は、第1線と第2線のリスク活動の有効性を監査するという3線モデルに基づく体制としています。さらに、YKKグループのコンプライアンス基準である「YKK Global Criteria of Compliance(YGCC)」をベースにリスクマネジメント活動のセルフチェックもできるようにすることで、それぞれの役割や推進担当者・部門を明確にし、活動の実効性を高めています。
重要リスクの特定と対策
2024年度に重要リスク特定プロセスを見直し、リスク管理部門へのヒアリングに加えて事業部門へのアンケートや経営層へのインタビューによりリスクの抽出や分析を行い、評価にあたっては発生可能性や影響度に加え、レピュテーションリスクや内的・外的要因を踏まえてリスクのレベルを判断しています。その上で取締役会での討議・決議を行い、重要リスクを特定しています。
2025年度は主な重要リスクとして、システム障害やサイバーセキュリティ、大規模自然災害、製品欠陥事故・リコールなど、27分類を定めました。これらに対して優先的に経営資源を投下し、体制構築や対策を実行していきます。
主な重要リスクへの取り組み
リスク分類 | 2025年度の主なリスク対策 |
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システム障害・サイバーセキュリティ |
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大規模自然災害 |
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製品欠陥事故・リコール |
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火災・爆発 |
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業務上の法令違反 |
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安全衛生リスク |
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ガバナンスリスク |
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コンプライアンスリスク |
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BCM(事業継続マネジメント)の取り組み
重大有事に対する適切な事業継続能力を獲得することをめざし、大規模自然災害、サプライチェーンの遮断、サイバー事故、感染症拡大等、オールハザードベースでの初動対応・BCPを迅速に実行できる体制の準備と訓練を繰り返し行い、組織力の向上を図っています。
基本方針の1番目には、「人命第一、安全確保、二次災害の防止等を優先」を掲げています。2024年度は、首都直下地震や南海トラフ地震を想定し、エリアをまたいだ製販合同での訓練、営業責任者向けの説明会、首都圏被災時に現地対策本部の代行拠点となる黒部との連携訓練などを実施しました。訓練によって明確になった課題に対しては、拠点ごとに対策方法を検討し、BCPの見直しや今後の訓練に生かします。また、避難訓練の対象にトラックのドライバーや食堂に勤務するスタッフなど、外部の協力会社の方を含めるなどの取り組みも推進しています。

黒部と首都圏の現地対策本部の連携訓練
(YKK AP30ビル)
レジリエンス認証
リスクマネジメントに関する一連の取り組みを受け、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が実施する国土強靱化貢献団体認証「レジリエンス認証」において「事業継続および社会貢献」の認証を取得しています。
レジリエンス認証とは
内閣官房が進める国土強靱化の趣旨に賛同し、事業継続に関する取り組みを積極的に行っている企業・団体を「国土強靱化貢献団体」として認証する制度です。審査・認証は、内閣官房国土強靱化室から認証組織の要件に適合した一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が行っており、企業・団体における事業継続(自助)および社会貢献(公助)の積極的な取り組みを広めることにより、すそ野の広い、社会全体の強靭化を進めることを目的としています。
